ぼくはクマ
クマのぬいぐるみに、ひとめぼれした。
旅行先にたまたま立ち寄ったティディベア・ショップで。
でもこれはティディベアではなくて、ただのクマ。
息子が欲しいと持ってきた。普段なら、買わない。家に帰ればほったらかしにされるのが目に見えてるから。
だけどこれはわたしが欲しくなっちゃって、しょうがないなぁって顔して買ってあげた。
なんか、全てが可愛い。
顔も手も足も。
見れば見るほど可愛い。
無表情が、いろんな表情に見える。
ちょっと哀愁すらあるたたずまい。
絵本の女の子が持ってそうな。
悲しいことがあったら、ぎゅっと抱きしめて寝る。
手垢で少し黒ずんで、脇がほつれたりして、
そしてポツンと置き去りにされたりしそうな。
女の子が大人になって、どこからか出てきたりするんだ。
宇多田さんの、「ぼくはくま」っていう歌を思い出した。
初めて聴いたとき、わぁ、すごい!ってワクワクしたもんだ。
意味のないような言葉の羅列なのに、毎日のいろいろがそれでいいんだと言われてるような気がして、心がほぐれる。
さいごの「ママ」が少し切ない。
♪ 冬は眠いよ、くま、くま、くま