a day

ハローでグッバイな

リンゴジャム

実家の母が、時々手作りのリンゴジャムを送ってくれる。
ネスカフェの瓶に入れて。

小さい頃、大好きで、リンゴを煮ている匂いがするとうれしくて、
たくさん味見をした。
毎朝、パンにたっぷりつけて食べてた。
買ったジャムよりずっとおいしいと思ってた。
「買ったジャムよりずっとおいしいでしょ」と言われてもいたし。

だけど、今食べると、不思議なことに、これがあんまり…。
まずくはない。だけど、そこまでおいしくもない。
あれ…こんなんだったけかなぁ?、とすごくびっくりした。
色もやや茶色いし、果物のアクのような味もかすかにする。
いかにも手作り…という感じ。
わざわざ送料をかけて送ってもらうほどは、おいしくない。
もちろん、そんなことは言わないけれど。

夫はそのリンゴジャムは食べない。ちょっとそういうの苦手だから、と言って。
わからなくもない。手作りというのは、人によっては微妙なものだ。
息子は食べるけれど、別に特別好きなわけではない。アオハタのいちごジャムのほうが好き。
冷蔵庫の中のネスカフェの瓶を見ると複雑な気持ちになる。
魔法がとけたような、と言ったら大げさかな。

不思議でもないのかもしれない。
息子だって「ママの料理がいちばんおいしい」と言う。そんなはずはないけど。
子供ってえらいよなぁと思う。愛?信頼?、みたいなものが味にくっついているのかなぁ。
無意識にそう思いたいってのもあるかなぁ、小さな世界の根幹を作るように。

あのリンゴジャムとこのリンゴジャム。どっちもほんとう。