a day

ハローでグッバイな

はだかの王様

GWが終わった。なんともいえないGW疲れみたいなものと、ほっとした感が同時に訪れる。
やっと平日だ〜。 

子供の日に。
劇団四季の「はだかの王様」を見に行った。
学校からチラシをもらってきて、どーーーしても見たいと息子が言ったので。
「高いからダメ!」と一蹴することもできたけど、わたしも実はちょっと見たかった。

わたしは高校大学と、演劇をやっていた。そのころは、あちこちいろいろ観劇した。
四季は一度だけ。劇団の先輩たちと一緒に、キャッツを観に行った。
結婚してからは一度もお芝居を見ていない。
別に誰に止められたわけでもない、自然とそうなった。
お芝居が始まる前の雰囲気が大好きだった。
暗くなり、音楽が流れ、スモークがたかれ。なんともいえないワクワク感がある。
これから、目の前で、楽しいことが始まる空気。
なんか、ああいうのをもう一回味わえるかなって思って。
今見たらどう思うのかなって思って、息子をダシにしてチケットを取った。

学校でチラシを配られただけあって、子供たちがたくさん来ていた。女の子はよそ行きの服でおしゃれをしている。非日常を楽しむみたいでいい。
話はわかりやすく、衣装もきらびやか。小さな子供でも楽しめるようにできていた。
でも「王様は裸だ」という真実を、伝えるのが正しいことなのかどうなのか、少し考えさせられる。
善良な役も少しマヌケだったり、悪いこと考えるヤツも少しかわいらしかったり、なかなか面白かった。

鍛錬された華やかなダンスを見て、やっぱり好きだなぁと思った。
目の前で動く筋肉、ひらひらと舞う衣装、伝えようとする表情、生の声。
そういうのを見るのが好きなんだ。
こんなことが表現できるんだという、人の力を見るようで。

劇が始まる前に歌があった。「幕を開ける歌」。
子供向けだからだろうか?歌詞が配られてキャストと一緒に、みんなで歌うことになっていた。
これがとても楽しいいい歌で。その一節に、 

楽しい芝居は いつだって
心に枯れない夢を咲かせる

という歌詞があって、じーんとしてしまった。
ああ〜、そうだったなぁ、そうなんだよ、と。なんか忘れてたものを思い出したような気がした。
お芝居もコンサートもそうだけど、高いお金を払って、苦労してチケットをとって、手元には何も残らない。
生きていく上で必需品というわけでもない。
写真もビデオも撮れないし、おもしろかったからもう一回、って見ることもできない。
だからこそ、その日が来るのを心待ちにして、目を凝らして楽しむ。
後に残るのは、楽しかったね!っていう、キラキラした空気。貴重なそれを忘れないように胸にしまう。

息子と、ああだったねこうだったね、と反芻しながら、帰る。
大人も童心に帰った、いい子供の日だった。